IT用語を超やさしく理解する
データの尺度
別名: 尺度 / 名義尺度 / 順序尺度 / 間隔尺度 / 比例尺度 / measurement scale / nominal scale / ordinal scale / interval scale / ratio scale
30秒で思い出す
データは、数字で表されていても同じ計算をしてよいとは限りません。
統計では、データの性質を次の4つの尺度で整理します。
- 名義尺度: 名前や種類を区別する
- 順序尺度: 順番まで分かる
- 間隔尺度: 差の大きさまで意味がある
- 比例尺度: 差に加えて比も意味がある
下へ進むほど、意味を持つ比較や計算が増えます。
超やさしく理解
学校で使う数字を思い浮かべてみましょう。数字には、名前の代わりになるものもあれば、量を比べられるものもあります。
例えば、出席番号が「3番」と「6番」の子がいても、6番の子が3番の子の2倍大きいわけではありません。出席番号は、人を見分けるための目印です。
一方、かけっこの「1位」と「2位」には順番があります。でも、1位の子が2位の子の2倍速いとは限りません。
教室の温度が10 ℃から20 ℃になったら、10 ℃上がったと言えます。ただし、20 ℃は10 ℃の「2倍の温かさ」とは言えません。
身長が100 cmと150 cmなら、差は50 cmで、150 cmは100 cmの1.5倍です。身長の0 cmは、長さがないことを表すからです。
このように、数字が何を表しているかによって、できる比べ方や計算が違います。その違いを4種類に整理したものが「データの尺度」です。
- 名義尺度: 出席番号のように、区別するだけ
- 順序尺度: かけっこの順位のように、順番まで分かる
- 間隔尺度: 摂氏の温度のように、差まで比べられる
- 比例尺度: 身長のように、差に加えて何倍かも比べられる
名義尺度
種類を区別するための尺度です。
順番や大小には意味がありません。
例:
- 社員ID
- 都道府県名
- OSの種類
- 血液型
- 製品カテゴリ
社員IDが1001と2002でも、2002の方が「2倍大きい社員」という意味にはなりません。
数字で表されていても、役割がラベルなら名義尺度です。
順序尺度
種類の違いに加えて、順番にも意味がある尺度です。
例:
- 障害の重要度: 低 / 中 / 高
- 満足度: 不満 / 普通 / 満足
- 順位: 1位 / 2位 / 3位
「高は中より上」のような順序は分かります。
ただし、隣り合う段階の差が同じとは限りません。
たとえば「満足」と「普通」の差が、「普通」と「不満」の差と同じ大きさだとは限りません。
間隔尺度
順番に加えて、値の差にも意味がある尺度です。
代表例は摂氏温度です。
10 ℃から20 ℃への変化と、20 ℃から30 ℃への変化は、どちらも10 ℃の差です。
そのため、
- 大小比較
- 差の比較
- 足し引き
に意味があります。
一方、0 ℃は「温度がまったく存在しない」という絶対的な0ではありません。
そのため、
20 ℃は10 ℃の2倍の温かさ
とは言えません。
比例尺度
順番・差に加えて、比にも意味がある尺度です。
意味のある0、つまり「量がない状態」を基準にできます。
例:
- 処理時間
- ファイルサイズ
- 通信量
- 件数
- 距離
ファイルサイズが10 MBと20 MBなら、
20 MBは10 MBの2倍
という比較に意味があります。
処理時間100 msと200 msでも、時間の長さとして200 msは100 msの2倍です。
4つを並べると
| 尺度 | 種類を区別 | 順序 | 差 | 比 |
|---|---|---|---|---|
| 名義尺度 | ○ | × | × | × |
| 順序尺度 | ○ | ○ | × | × |
| 間隔尺度 | ○ | ○ | ○ | × |
| 比例尺度 | ○ | ○ | ○ | ○ |
「どこまで意味のある比較ができるか」で整理すると覚えやすくなります。
どう見分ける?
順番に確認します。
1. 単なるラベルか?
はい → 名義尺度
2. 大小や順序に意味があるか?
はい → 少なくとも順序尺度
3. 値の差に意味があるか?
はい → 少なくとも間隔尺度
4. 0が「量がない」ことを表し、比にも意味があるか?
はい → 比例尺度
数字だから平均してよい?
必ずしもよくありません。
たとえば社員IDが、
1001, 1002, 3000
だったとして、その平均を計算しても社員の特徴を表す意味のある値にはなりません。
一方、処理時間やファイルサイズのような量には、平均などの計算が意味を持ちます。
統計では、計算する前にデータの性質を見ることが重要です。
代表値とのつながり
後続の代表値では、平均値・中央値・最頻値を使います。
尺度によって、意味を持ちやすい代表値が異なります。
- 名義尺度: 最頻値など
- 順序尺度: 中央値、最頻値など
- 間隔尺度 / 比例尺度: 平均値、中央値、最頻値など
ただし、尺度だけで機械的に決めるのではなく、分布や分析目的も確認します。
どこで使う?
ITでは、さまざまなデータを扱います。
例:
- ユーザーID → 名義尺度
- 障害優先度 → 順序尺度
- 摂氏温度のセンサー値 → 間隔尺度
- 応答時間 → 比例尺度
データの種類を正しく把握すると、
- 平均してよいか
- 順位だけを比較すべきか
- 比率として比較できるか
を判断しやすくなります。
よくある勘違い
数字で保存されていれば比例尺度?
違います。
社員IDや商品コードのように、数字が単なる識別子なら名義尺度です。
順序尺度なら差も比べられる?
通常は比べません。
順番は分かりますが、各段階の間隔が同じとは限りません。
0があるデータはすべて比例尺度?
違います。
0という値があるだけでなく、その0が「量がない状態」を表しているかが重要です。
摂氏0 ℃は温度が存在しない状態ではないため、摂氏温度は比例尺度ではありません。
比例尺度ならどんな統計処理でも使ってよい?
違います。
尺度は「どの比較や計算に意味があるか」を考える基礎です。
実際の分析では、分布、外れ値、サンプル数、目的なども考える必要があります。
このKnowledgeで扱わないこと
ここでは、名義・順序・間隔・比例尺度の意味と基本的な見分け方を扱います。
次は後続Knowledgeへ分けます。
- 度数分布表 / ヒストグラム / 箱ひげ図
- 平均値 / 中央値 / 最頻値の詳しい使い分け
- 分散 / 標準偏差
- 相関 / 回帰
- 推定 / 仮説検定
ここまで分かればOK
- 4つの尺度を説明できる
- 数字の見た目ではなく、データの意味から尺度を判断できる
- 順序尺度では差が同じとは限らないと説明できる
- 間隔尺度では比が意味を持たない場合があると説明できる
- 比例尺度では意味のある0を基準に比を比較できる
- 分析前に尺度を確認する理由を説明できる
資格との関係
基本情報技術者試験
- シラバス
- Ver.9.2
- 必要な理解
- 仕組みまで理解できる
- 重要度
- 中
- 分野
- テクノロジ
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